日本新聞協会(会長・北村正任毎日新聞社社長)は15日、東京都内で会員総会を開き、新聞販売店の値引き販売を禁じた「特殊指定」の見直しを検討している公正取引委員会に対し、現行の特殊指定の堅持を求める特別決議を全会一致で採択しました。


社説で国際的な自由競争が、日本の繁栄を支えてきたとを唱えている新聞も、自分の業界の自由競争だけは別のようです。「特殊指定の見直しはいたずらな価格競争を招き、国民の知る権利を支えてきた戸別配達網を崩壊させる」だそうです。


この理屈は全ての業界に使えます。「自動車の販売価格競争は、国民の足を支えてきた自動車業界の基盤を崩壊させます。」 「ファミレスの過度な価格競争は、国民の胃袋を支えてきた外食産業のレストランチェーンを崩壊させます」「塾、予備校の乱立は国民の知的水準を支えてきた教育産業の基盤を壊します」「通信料金の過度な競争は、国民の情報網を支えてきた通信業の根本を崩壊させます。」


新聞だけどうして例外なのでしょうか。それはどのメディアもメディア自身を非難しないからでしょう。誰も自分の墓穴を掘りません。


しかしそれにしても、新聞だけが価格競争に晒されてはいけないという理由が、私には全く理解できません。 価格競争の結果、供給が根本的になくなった業界が今まであったのでしょうか。もちろん需要が無くなり、供給が無くなった例はありますが、需要が存在するのに供給網が崩壊した例を寡聞にして知りません。ネットの普及で新聞販売の部数は減少傾向にありますが、新聞の需要そのものは今後も存在し続けるでしょう。


社説では、自由競争のすばらしさ、大切さを唱え、消費者主権の確立を支持し、(私自身は同じ考えですが)、自分達の業界だけは価格競争を避けるように仕向ける、新聞業界の偽善、欺瞞に満ちた論理展開に憤りを感じてしまいます。